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2008年2月14日 中国電力代表取締役社長 山下隆様■要請書■
1997年、気候変動枠組み条約・第3回締約国会議(COP3)で決められた京都議定書の約束(日本は温室効果ガス90年度比、6%削減を5年間で達成すること)を守る期間に、2008年4月1日から入ります。が、中国電力の現状は、総排出量、排出原単位とも増大し続けています。 <2006年実績は、排出原単位0.67kg-co2/kWhで、1990年比で11%増と大幅に増加。(総排出量は、480万t-co2(1990年約250万t-co2))> このCO2排出量増大という結末は、中国電力の温暖化対策の方針の甘さから引き起こされています。中電は、1996年に、「2008年度―2012年度におけるCO2排出量原単位を1990年度実績から平均で20%程度削減する」という地球温暖化対策について目標にかかげました。そして、そのための方策として、原発推進、火力発電所の運用改善と高効率化、京都メカニズムを打ち出しました。ところが、原発のみに依存する現実味のない方策であったため、原発での事故、データ隠し、地震などによるトラブルが続く中、安い石炭を燃料とする石炭火電の利用率を上げざるを得ず、CO2の排出量の大増加を招いています。これは、原発増設のみならず、高効率化を名目として、政府が2002年まで、石炭火電建設のための工事費を低金利で融資し続け、大増設してきた結果といえます。 また、中国電力は、第一約束期間中に目標を達成するために、二次的対策としての京都メカニズム(「クリーン開発メカニズム」(CDM)、「共同実施」(JI)、国際排出量取引)を強力に打ち出しています。そればかりでなく、総排出量削減を目標にするのではなく、今までの排出源単位削減という目標を国際的に認めさせようと、ポスト京都へ向けて、部門別にエネルギー効率を改善する「セクトラルアプローチ」を提案、実現しようと躍起になっています。この流れは、気候変動枠組み条約の本来の精神、<先進国が今まで排出した温室効果ガスによる温暖化の責任を認め、国内で使用される化石燃料によるCO2排出量の削減を目指す>に反すると言わざるを得ません。 世界では、ニュージーランドを始めとして、石炭火力の新規建設を差し控える動きが活発化しています。国内でも、2006年、シグマパワー山口の石炭火力発電所計画が、環境省の意見により中止されたことは、ご存じのことと思います。が、中国電力には、依然として、三隅2号機、大崎1-2号機の計65万kWの石炭火力の新規立地が予定され、また、電源開発株式会社と共同出資で設立した叶」戸内パワーでも、石炭火力建設の計画があるとも報道されています。 この計画は、地球温暖化対策に逆行する流れだと言わざるを得ません。 現在、原油高を始めとしてエネルギー資源の高騰が続いています。この動きは一時的なものではなく、数年前から、言われ始めた「ピークオイル」の現象の予兆と考え、ピークオイル対策、2020年代という近い将来の石炭ピーク対策も真剣に考え始める時期に突入したと考えるべきです。つまり、地球環境対策だけでなく、エネルギー資源の欠乏や燃料価格の高騰のための稼働率低下なども考慮しながら、発電所立地を、発電所の廃止を含めて、再考すべきです。 以上の主旨をふまえて、以下のことについて要請します。
2月14日(木)、中国地方反原発反火電等住民運動市民運動連絡会議、広島県芸南地 区火電阻止連絡協議会、三隅火電を考える会の3団体が、「石炭などを原料とする巨大火 力発電所の建設中止を求める要請書」を中国電力へ提出しました。参加者は9人でした。 中国電力側からは、広報・環境部門の沖原課長、コンプライアンス推進部門の渡辺課長 の2人が応対に出てきました。最初、2人が、データ改ざん問題について深々と頭を下げ て謝罪しました。以前に申し入れをした際にも、同じデータ改ざん問題で頭を下げて謝罪 しており、「またか」としか思えませんでした。 しかし中国電力側は、いつものことですが、文書での回答は拒否しました。最初に頭を 下げて謝罪したのは一体何だったのでしょうか? また「コンプライアンス経営の推進に 向けて」「CSR(Corporate Social Responsibility 企業の社会的責任)報告書」と いうパンフレットが配布されたのですが、その「コンプライアンス経営の推進に向けて」 には「コンプライアンス経営推進宣言 2.率直に話します ◆お客さまや社会に対して、 自発的に、適切にご説明します」と書かれていました。その文言は一体何なのでしょうか ? 私が読み上げると、一部から失笑が漏れました。 それから地球温暖化の原因となるCO2(二酸化炭素)排出削減のために原子力発電を 推進するという中国電力お決まりの台詞を聞かされました。さすがに中国電力側も核燃料 の精製や輸送などの段階でCO2を排出していることを認めざるをえなかったのか、「発 電する際には」という限定付きでしたが。 これに対しては、「原発は大量の熱も排出している。CO2排出削減・地球温暖化防止 のために原発を推し進めるというのはおかしい」「本来、総体として電力の使用量を減ら すキャンペーンをすべきところをオール電化住宅を推し進めるなど電力の使用量を増やす ようなことをしているのではないか」という反論がありました。 また、CO2の排出を削減する前提として、原発の稼働率を85%と非常に高く設定し ているのが気になったので、これまでの実績を尋ねると、「島根原発1号炉が50.1%、 2号炉が82.4%、18年間の累積が72.8%」という答でした。そこで「総体として 安定して85%を超えていなければ意味がないのではないか」と指摘すると、「85%を 超えている時期もある」などと答えました。まさに砂上の楼閣、机上の空論です。無理に 原発の稼働率を高く設定することで、安全性が犠牲になるおそれもあります。 要望書にはピークオイル、ピークコール対策について書かれていたのですが、応対に出 てきた2人は、ピークオイル、ピークコールの問題について知らないようでした。 他にも「どれだけCO2の排出を減らしているのかが見えてこない。公表しようという 気はないのか」「データを出せば、それを共通の土台として議論ができる。芸南火電反対 運動の際には、そうしてきた。今回の中電の対応は、それと比べても悪い。芸南火電での 経験が生かされていない」等、様々な意見が出ました。最後に「また来年も来ます」と言 い残して、席を立ちました。 中国電力は、ポーランドの石炭会社「ヤスチェンベ石炭公社」とCO2排出権の売買契 約を締結したことに見られるように(3月14日発表)、排出権買い取りという裏技を使 い、CO2排出削減に真摯に取り組む気はないようです。まさにCO2排出も増やし、原 発も増設するというエネルギー他消費社会への道しか示していないのです。これへの私た ちの対案は、脱原子力かCO2排出削減・地球温暖化防止かという偽りの二者択一ではな く、原子力も二酸化炭素排出・地球温暖化もNO!であり、エネルギー多消費社会そのも のへのNO!であり、循環型の持続可能な社会です。これからも声をあげ続け、行動し続 けましょう! (伊達 純)
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