2005年9月4日
反原発・反火電ちゅうごく通信No265
ニューズレター


目次
上関原発建設計画で海上調査阻止
8月31日祝島漁協の漁師とシーカヤッカー海上ボーリング抗議行動。
漁船は延べ40隻ほど、シーカヤックは6艘が参加。
6月20日からの海上調査が始まってから計5回目の阻止行動。

7月29日の阻止行動
 祝島の漁船約30隻が早朝から台船付近に船を停め、海上ボーリングへの抗議行動を行いました。この日はシーカヤック6隻も参加、中電の作業船は前回と同様、現場海上に姿を現しませんでした。天候があまりよくなく昼過ぎには波も高くなり雨も振り出したため、小船の多い祝島の漁船は引き上げました。しかし熟練のシーカヤッカーは3時過ぎまで粘り、天候の回復を見て再度現場に戻った祝島の漁船も4時前まで粘ったため、その後現場に姿を現した中電の作業船もこの日はほとんど作業を進めることはできませんでした。
(祝島漁協ホームページより)


上関原発詳細調査に関わる「許可・自由漁業」について
原水爆禁止山口県民会議 議長 中嶋光雄

漁業補償問題は未解決
 上関現地では、中国電力により炉心設置許可申請に必要な詳細調査が陸上では4月13日から、海上でも6月21日から強行されています。陸上での100名規模による座り込み阻止行動は県警にごぼう抜きされ一日しかもちませんでしたが、現在も自然観察ハイクなどでの抵抗を続けています。しかし、海上では6月21日から23日までの三日間、ボーリング台船を祝島の漁船が取り囲み、陸上からも海上保安庁が中電寄りの介入行動をしないようシュプレヒコールで監視、応援するなどして作業開始を完全に阻止することができました。
 この阻止行動は、全国ネットでテレビ放映され、視聴された明治学院大学教授の熊本一規先生より「ボーリング調査と許可漁業・自由漁業の法律関係について」貴重な助言を頂き、また、7月27日には中国電力と山口県に対して、「海上ボーリング調査が、祝島漁協の慣習上の権利を侵害していないとする根拠について、説明を求める」要請交渉にも同席していただき、鋭く両者を追及していただきました。
 もともと原発建設予定地地先にその漁場のほとんどを依存する祝島漁協は、関係8漁協でなる共同漁業権管理委員会の漁業補償契約(125億5千万円の半額が支払済みだが、祝島分の5億円は受け取りを拒否)の無効を求めて係争中で、裁判の過程で、「管理委員長が許可漁業・自由業漁業者から委任は受けていない」と証言するなど、漁業補償問題に未解決があることが明らかになっています。

中国電力交渉―7月27日
 こうした中での中電とのやり取りを、文書回答を嫌がるのを何とか電話で、次のように確認しました。
 「個々の許可漁業、自由漁業の操業実態と漁獲高を正確に把握することはできないので、関係8漁協の漁獲高をもって、全てが補償の対象となりえるものと判断して包括的に補償をしている。個々の操業に権利性が有る無しを確認して補償しているわけではない。個々の漁業者について把握できない。「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」の云う権利と認められるまで成熟した操業もあるかもしれないし、成熟していないものもあるかもしれない。(個々の漁業者は、あまりに多いので、あたるのが不可能)関係8漁協の漁獲高をもって、トータルで補償をしている。「要綱」の云う、補償を受けることのできる権利と調査に同意を得なければならない権利とは違う。」と、ふざけたものでした。
 しかし、このことから次の3点が明らかになったと熊本教授から指摘を頂いています。
@祝島漁民による委任行為が無いことが明らかになった。
A委任行為がなければ、中電の調査は違法である。(許可漁業・自由漁業が「慣習上の権利」にまで成熟している場合に補償が必要なことは、「要綱」に明記してあり、中電も県も認めている。「慣習上の権利」に成熟している許可漁業・自由漁業に対して、共同漁業権管理委員会との補償契約をつうじて補償したと言うためには、それらを営む漁民による委任行為が必要なことは、山口県も共同漁業権管理委員会の委員長も認めており、他方で、委任行為がないことは今回の中電公式回答から明らかですから、山口県答弁・管理委員会委員長証言及び中電回答を示すことによって、中電の調査が補償の必要な「慣習上の権利」を補償なくして侵害していることを明らかにできる。
B「慣習上の権利」を補償なくして侵害している場合には、条例5条1号の「公衆の一般海域の利用に著しい支障がないものであること」という条件や一般海域占用許可基準の「占用許可の基本方針(4)当該工作物の設置等により一般海域の自由使用を妨げない場合」という基本方針に反し、したがって、本件占用許可は条例に反することを明らかにできます。

山口県の対応
 ちなみにこの点に関する県の文書回答は、「占用箇所が同時に3箇所であり、1箇所当たりの使用期間が半月から3ヶ月といった短期的なものでありますことから、許可基準である公衆の利用に著しい支障がないと判断し、許可したところです。」と、怒りを覚えざるを得ません。山口県はこの間、上関原発計画は事業者の責任でなされることと第三者の立場を装いながら、内実は恣意的ともいえる手法で事実上、県自ら、推進の役割を果たしています。県は漁業振興について指導、監督、許可など多くの権限と責任を持つ立場でありながら、祝島漁協の不利益を係争中、当事者間の問題だとしてあえて無視してきました。山口県知事の姿勢に怒りを禁じえません。
 なお、8月1日に、祝島漁協と29名の許可漁業者、そして24名の自由漁業者で中電を相手に「上関原子力発電所建設に係る海域の詳細調査差し止め仮処分申請」を山口地裁岩国支部に提出しています。

魚釣りで阻止行動
 海上作業は7月6日、29日にも阻止し、8月5日には「原水禁60広島大会・上関原発反対現地交流ツアー」参加者の皆さんに魚釣り(東京の方が5キロの鯛をゲット)をしていただいて海上作業を阻止してもらいました。相手は賛成派の漁船を金で雇って阻止行動の警戒に当たらせていますが、こちらは漁を休んでの闘いで、もてる者と持たざる者の闘いが続いています。できれば祝島の漁船をチャーターして「魚釣り阻止行動(仮称)」を企画していただければ幸せます。
 なによりも祝島漁民は補償を受け取っていないのですから、その権利を侵害するボーリング調査は、補償なしに財産権を侵害していることになり、憲法29条1項違反にあたる。と、熊本先生に教えられました。白紙撤回を勝ち取るまで頑張ります。
(写真・文提供・祝島漁協ホームページ)


「祝島の営む許可漁業、自由漁業は中電が勝手に占用してはならない強大な財産権である」
原発いらん!山口ナットワーク 武重 登美子

 7月27日、東京よりわざわざご足労くださった明治学院大学の熊本一規教授のお説は急遽行った中国電力、山口県への異議の申し入れで相手を右往左往させるに足りるものであった。
【熊本説】―詳しくは(資料―1)参照
許可漁業、自由漁業は財産権である。
社会通念上、長年使用すると慣習上の権利として認められ財産権となる。「公共用地取得に伴う損失補償基準要綱」(以下要綱とする)2条
  • 要綱は昭和37年閣議決定した。
  • ・財産権として国は認めている。国交省・榊田氏に確認済み。(中電、山口県は認めない)
  • 詳細調査は財産権の侵害である。(憲法21条1項―これを犯してはならない)
  • 財産権を取り上げるには (1)補償契約を結ぶか (2)強制収容しかない。
  • 「許可漁業」の補償契約は「財産権」として認めていることになる。
    この前提に於いて中国電力は……
  1. 補償はもう支払った。(共同漁業権管理委員会へ)
  2. 財産権は認めないが支払った。(違法過大な補償である。電気料金にはね返る。株主に損害を与えた。)
 但し、これは許可漁業のことで、「自由漁業」について相手の「同意」又は委認状が必要である。(中電は同意を取っていない。共同漁業管理委員会へ何者からも委任状を取らず、同意も確認せず8漁協に対し、一括して支払った。)
 「許可漁業」「自由漁業」は共同漁業権管理委員会とは全く関係のない存在である。以上の様に中国電力はたくさんの矛盾を露呈した。


3号機設置許可に異議申立
島根原発増設反対運動   代 表 芦原康江

 経済産業省は、チェルノブイリ原発事故が起きた4月26日に、島根原発3号機の設置許可を出しました。
 私達住民は、宍道活断層の評価に対して重大な疑義があるままで設置許可を出されたことに対し、抗議文を郵送していました。加えて、6月24、25日の両日に亘って、県内弁護士10名と1,2号機の差し止め訴訟原告が中心となった計52名による「異議申立書」を経済産業省に送りました。
 その大きな理由は、もちろん活断層問題です。中国電力は宍道活断層について、長さ10Kmとして設置許可申請を出しているものの、広島大学の中田教授による調査では、「長さは18km・最低でもM7クラスを想定すべき」と主張されています。
 しかも、その調査は原子力安全・保安院の「原子力基盤調査研究」として委託されたものであり、今年3月、経済産業省はこの調査報告書を受け取っています。経済産業省は、報告書を受け取りながら安全審査には一切反映しなかったものです。そのこと自体が、安全審査の手続き的に違法といえるものです。
 そして、3号機予定地横の宮崎鼻では地権者の同意を得られないために取得することができず、現在でも地権者は岩ノリ採取などに立ち入る状態です。この状態は、原発が一般公衆から隔離されていないことを表しており、万が一の事故時には、地権者らが被曝する恐れすらあるのです。
 また、3号機はABWR(改良沸騰水型)であり、この炉特有のインターナルポンプのため、強度に問題があること、ECCS機能が縮小されているため、緊急時の安全確保に問題があることなど、設置許可はとうてい容認できるものではありません。
 異議申立者は、経済産業省に対して、口頭審理を申し立てていますので、ぜひ住民の声を聞かせたいと思います。

強引に工事を進める中国電力に怒る宮崎鼻地権者!
 松江市片句地区の「宮崎鼻」の地権者3人は、地元の特産物でもある「いわのり」を守るために、島根原発3号機増設に関連する公有水面埋立て工事に反対し、島根県に対して「公有水面埋立て工事」の差し止め裁判を闘っています。
 この裁判進行中に、2号機の放水口の付け替えに伴い設置された工事汚濁防止施設(汚濁フェンス)により、地権者が所有する宮崎鼻の土地に船で往来することが困難かつ危険な状態になっており、島根原発工事事務所に対して具体的に問題点を指摘し、汚濁フェンスの移設を強く求めています。
 汚濁フェンスと島との間隔は、わずか5メートルしかなく、通行を妨害することは島根原発工事事務所も認めています。島根県知事からの公有水面埋立て工事免許にあたっては、「工事に起因して他に損害を及ぼし、又は損害を及ぼす恐れが生じたときは、当該損傷を補償し、又は損害を防止するなど必要な措置を講じること」との条件を出しており、これに違反しています。
 さらに、「護岸、その他の工作物の施工において周辺の状況に対応して、生活環境への悪影響、水質の悪化、有害物質の拡散、大気汚濁、騒音、振動、植生・動物への悪影響、自然環境への悪影響、文化財天然記念物等への悪影響、交通障害等の防止、その他の環境保全に十分配慮した対策(護岸等の構造の選定、作業環境の選定、工事工法の選定、資材等の運搬の手段及び経路、その他)がとられていること。」について審査され、許可が出されている。この中の「交通障害等の防止」に抵触してことは明白です。問題の根本的解決のためには、2号機の放水口の付け替え工事を中止するしかないのです。
 地権者達は、中国電力の住民無視の強引なやり方に強く反発し、今後も粘り強く戦う決意を固めています。


これからの日本の原子力政策について
−原子力政策大綱のパブリックコメントへの意見−
原発はごめんだヒロシマ市民の会 木原省治

 わが国が、原子力エネルギーを推進しようとするための理由は、その時代によって大きく変遷してきました。原子力はクリーンなエネルギーだとか、安価である、石油が無くなる、地球温暖化防止に効果がある、最近では電力会社の関係者の口からは、「中国のエネルギー需要が急速に伸びているから」など、訳の分からない理由を言ってきます。結果として、日本は米国、フランスについで53基の原子力発電所を持つ、世界第3位の原子力大国になってしまいました。
 私は、次の理由によって日本が原子力を進めることに反対です。
  1. 国土が狭く、周囲を海に囲まれた島国であり、かつ地震大国であるこの国に原子力発電所をこれ以上建設することは非常に危険です。
  2. 日本はこれから急激な人口減少社会に突入します。電力自由化の幅も大きく拡大しようとしている中で、原子力発電所によって電力エネルギーを増加させる必要性はまったく存在しません。原子力発電所の建設は電力会社にとっても大きな負担になることは明らかです。
  3. 高速増殖炉「もんじゅ」は、1995年12月のナトリウム漏洩火災事故により長期間の運転停止を強いられています。今後の運転再開見込みも実質的に困難な状況といえます。「もんじゅ」以降の高速増殖炉計画は白紙状態です。そのためにも、これ以上プルトニウムを日本が所有する必要性はまったく存在しません。海外諸国でも、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスと、世界のどこの国でも高速増殖炉計画に失敗しました。余剰のプルトニウムを持たないという原則からも、日本がプルトニウムを所有する必要性も理由も全く破綻しているといえます。
  4. 高速増殖炉計画の実質的な破綻から、プルトニウムを一般の原子力発電所で利用しようとするプルサーマル計画が起こっています。プルサーマルを進めようとする政府は、高速増殖炉計画が前進せずにプルトニウムという物がやっかい物になった時、再処理計画がストップし、使用済み燃料でいっぱいになった原子力発電所が運転停止に追い込まれかねないというのが、本音にあるように思われます。
     プルサーマル計画は持ち上がりますが、その危険性や住民の反対により、いまだに国内では、どの原子力発電所でも実施されていない状況です。

 私は、ヒロシマに生まれた被爆二世として、原子力発電所の危険性を一貫して訴えてまいりました。
 私の住む広島の近くの山口県上関町には、約24年も以前から上関原子力発電所の建設計画が浮上しています。この間、住民は原発推進と反対に対立し、これまでの暖かい人間関係は完全に壊されてしまいました。原発が建設されようとしているところには、どこにも共通して起こっている社会問題です。住民の絆を破壊させた責任は誰にあるのでしょうか。修復のたいへん困難な住民間の対立を生じさせる原子力発電所は、その意味からも大きな罪を犯していると思います。


お知らせ

1 連絡会議第23回(反原発反火電等)中国地方交流総会
日時:11月26日(土)/27日(日)
場所:広島県芸南地区(竹原市、東広島市安芸津町を中心に)
26日(土) 午後から
@講演会  地球温暖化と大型火電(仮称)
―講師:気候ネットワークの方(交渉中)―
A中国地方各地の報告
B連絡会議総会
 −夜 交流会−
27日(日)
C午前中 大崎火電に反対している田房さんの所でみかん狩り
       12時解散
 詳しくは次回のニュースでお知らせします。

2 詳細調査差し止めの仮処分申請
 8月1日、 祝島漁協と、調査海域で許可・自由漁業を操業する祝島の漁師53人は、中電の行う海上ボーリングを含めた詳細調査は漁業被害を与えるとして調査差し止めの仮処分申請を岩国地裁に申し立てました。

3 宮司地位保全、神社地仮処分の審尋
 8月24日(水)、林宮司の地位保全と、神社地の移転登記抹消・現状変更 禁止を求める審尋がそれぞれ行われました。
 地位保全の審尋では、裁判所から宮司の解任理由を明らかにするよう再三促されていた神社本庁側が自身の判断は明らかにせずに平成13年に四代八幡宮の責任役員らに提出させた「回答書」を提出しました。林宮司側はこの「回答書」については虚偽の部分があることや、解任にいたるまでの正当な手続きがなされていないとしています。
 神社地の仮処分については、入会地であるか否かが争点となっています。
 また、林宮司の退任届けが偽造されたことについて山口地検に告発がされている件については、いまだに中止扱いとなっているとのことです。
(祝島漁業ホームページ)

4 裁判の予定

@9月29日(木) 10時から 山口地裁岩国支部
 祝島漁協漁業補償金支払無効の裁判
 この日が結審になり、判決は12月ごろの予定になります。

A10月3日(月) 13時15分から 松江地裁
 島根原発1,2号機差し止め訴訟

B10月20日(木) 10時から 広島高裁 四代共有地裁判判決
 7月21日の裁判では、これまでの中電の主張をすべてが、完璧に反論されつくした。しかし、陳述の最中に、裁判長(草野芳郎、株主代表訴訟の裁判長でもあった)が居眠りをする姿が見られ、言葉を失った。「公正かつ厳密な判決を求める」緊急署名は全国から5万4000筆以上集まり、これを裁判長に渡たそうとしたが、中電側の弁護士が反対しとことを理由に受け取りを拒否。(現在署名は10万筆を超えている)
(原発いらん!山口ナットワーク204号)

C11月2日(水) 15時から 山口地裁岩国支部
 林宮司地位保全の仮処分(審尋)と神社地の移転登記抹消・現状変更禁止を求める裁判


木原省治のコラム
アレルギーとアネルギー
 よく日本人には「核アレルギー」があると、言われる。ヒロシマ・ナガサキの経験を持つ日本人には、「核」に対して、拒絶反応を示すという体質を持っていることを指していることだろうが、最近この言葉を聞くと、なんだか「こそばゆい」気持ちになってくるのである。
 「核アレルギー」は、アメリカ人などが、日本人の「核」に対する過敏なまでの反応を多分に皮肉ったものであるといわれるが、この「核アレルギー」が日本人の中に薄くなっているような気がしてならないのである。
 アレルギーがある「はず」なのに、原子力発電所を53基も持つ世界第三位の原発大国。青森県の六ヶ所村には、核燃料の再処理工場を莫大なお金を使って建設し、核兵器の原料にもなるプルトニウムも大量に保有しようとしている。保有するプルトニウムの量は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)どころではない。霞ヶ関や自民党の国会議員などからは、「核兵器を持っても良い」などといった発言まで、何のアレルギーも無く飛び出してくる。
 こんな多くの日本人に、何の「抗生物質」や「免疫力」が効いたのかしらないけど、アレルギーを示さなくなったような気がしてならない。このことは、とても残念なことである。
 アレルギーは英語で「allergy」と書くが、ちょっと綴りを変えた英語に「anergy・アネルギー」という言葉がある。もともとは、アレルギーもアネルギーも同様に、医学用語である。
 「アネルギー」とは、無反応な状態とか無関心とかを意味する「アレルギー」とは対比する言葉だそうだが、なぜ「アネルギー」が強くなったのだろうか。この状況は老若男女に関係ないようであって、なぜ一体そうなったのか。この理由の本当のことは、僕にもよく分からない。
 原子力発電所がどんどん建てられても、プルトニウムをどんどん貯め込もうとも、そんなことより、毎日それなりに美味しいものが食べられて、「楽しい」テレビ番組を観ながら日々が送られれば、それで果たして本当に良いのであろうか。そういう状態でありながら、若者も僕たち中年も多くの人たちは、老後の生活や暮らしに不安を感じている社会である。
 みんな、戦争に対しても原子力発電所に対しても、弱いものイジメに対しても、政治にも選挙に対しても、過敏な「アレルギー体質」を持とうではないだろうか。「アネルギー」では、小泉に騙されてしまう。
 被爆から今年は60年。年月の経過は、ヒロシマ・ナガサキの風化という表現になっているけど、僕はいつまでも「核アレルギー」体質を変えないぞ。そうでないと、慰霊碑に眠る原爆犠牲者たちの霊は、浮かばれない。「過ちは繰り返させませぬから」この事を、改めて感じさせた8月だった。
《文・木原省治》



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