反原発・反火電ちゅうごく通信

No.262


2005年4月30日

100人が集まって看板設置の作業
最高の景色に"文明とは"と考えた

原発いらん!山口ネットワーク 三浦 翠

 3月16日に、上関原発を建てさせない祝島島民の会から上関町四代田ノ浦の"集いの場"の前面近くに大きな看板を立てるという呼びかけがあり、当日の3月19日、弁当を持って駆けつける。原発いらん!山口ネットワークのメンバーには、ハガキで速報したので近場から10名ほどが集まり、出会いを喜び合う。
 10時から開始との案内だったので、その時間に行ってみると、すでに立派な看板が完成、まわりの雑木もきれいに切り払ってある。看板には「上関原発反対!!詳細調査阻止」と赤と青で二段に書かれ、縦90センチ、横3メートル60センチ、木の枠にトタンを張って縁をまき込んである、雨や風にもびくともしない作りである。すぐ下に中電が作った展望台からも、ログハウスの"集いの場"と一体となってよく見える。
 祝島の皆さんは総勢90名。7時過ぎには島を出発、田ノ浦の浜に上陸してあっという間に作業を済まされたらしい。"集いの場"の台所では詳細調査阻止の泊まり込みにそなえて、おにぎりの炊き出しの予行演習。白米と炊き込みごはんのおにぎりと、祝島特産の美味しい大根のお漬け物。遅れて到着した私たちは「食べんさい、食べんさい」と言われて、おにぎりを頬ばるのみ。空は青く、海はベタナギで祝島を望む景色は最高だ。
 「こんなきれいなところに原発をつくろうとするなんて、どうかしとると思わんかね」と祝島のおばちゃんが、マスコミの青年たちに話しかける。本当に、こんな天国かと思えるような美しく静かなところに原発を建てようとする"文明"とは一体なんなのか?
 2004年9月6日に中電が疑惑まみれの方法で炉心を含む神社地を取得してから漁業権の問題も共有地の問題も積み残したまま、詳細調査の準備につき進み、山口県はあらゆるハードルを取り払って、これを後押しするという異常な事態が続いている、上関原発計画の現在である。

上関原発建設計画、6度目の計画延期

2005年度の電力供給計画
 3月25日、中国電力は2005年度の電力供給計画を発表した。計画では、上関原発の1,2号機とも建設着工の1年延期を、島根原発3号機も延期が明らかにされた。
 建設の見込みもたたないにも関わらず、1年延期を繰り返す中国電力に対して、上関の地元では「白紙撤回しかない」の声が強くなっている。

縄文時代の住居跡が発見される
 また、上関原発の予定地に、縄文時代の住居跡と見られる文化財が発見され、山口県教育委員会は中国電力に対して、埋蔵文化財の発掘調査が必要な区画であることを通知した。県教委の通知によると、調査が必要なのは、上関町四代の海岸沿いの1,650平方メートルで、原子炉設置予定地の北側となる。県遺跡地図では田ノ浦遺跡があるとされ、今年1月と3月の県教委の試掘で、縄文時代の土器片などが見つかっていた。
 中電の当初の詳細調査計画では発掘調査は想定されていないため、1年延期になったばかりの着工時期は、さらに遅れる可能性が出てきた。
 改めて、この地域が自然的にも歴史的にも、貴重な地域であることが明らかになったといえる。

田ノ浦に新たな看板が設置
 3月19日、中電が作った展望台のそばに、「上関原発反対!!詳細調査阻止」と書かれた横3メートル60センチ、縦90センチの看板が設置された。この日、朝早くから祝島の人たち約90人をはじめ、上関町民の会、原発いらん!山口ネットワークのメンバーら100人を越える人たちで看板の設置作業や共有地内の立ち木トラストの整備作業が行われた。
(広島:木原省治)

中国電力、詳細調査に着手

 4月13日、中国電力が詳細調査に着手しました。中国電力は調査着手当日の早朝に、県、町及びマスコミに通知し、抜き打ち的に調査を開始しようとしました。
 祝島から上関原発建設予定地である対岸の田ノ浦までは3.5kmほどしかなく、そのため、漁船でも15分程度で行けます。祝島島民の会ではすぐに漁船30隻以上、有志70名以上で現地へ向かいました。
 まず、原発に反対する上関町民の会の岩木共同代表ら数名が現地に到着し、そこに祝島島民の会有志が合流しました。その後、一部町道を中国電力の警備員が封鎖するなどの妨害行為が行われたとの話もある中、上関町内の反対派、市民グループ、県議、近隣の市議、町議など県内各地から人が集まり、10時過ぎには詳細調査の実施に反対する100人以上の人たちが現地に集まり調査実施に抗議をしました。
 最初の詳細調査のボーリング地点となったのは、神社地近くの山頂を少し下ったところでした。ボーリングの機器の周辺は柵と金網で厳重に覆われ、30人を超す警備員の警備の中、11時半にまず安全祈願祭らしきものが行われました。その後、中電上関調査事務所の和森康修副所長が詳細調査着手を宣言してボーリングが開始されましたが、30分足らずで終了しました。
 終了後も集まった人たちは抗議の封鎖を続け、中電職員、警備員とのにらみ合いが4時間近く続きました。最期は午後4時過ぎに中電の要請を受けて朝から待機していた警察官80名が中電職員を警護しながら現地から退去していく形で終わりました。
 今回の詳細調査着手は、実質は「詳細調査を開始した」というセレモニー的な要素の強いものだったようです。

四代区共有地訴訟、証人喚問

 4月18日、四代区共有地訴訟で広島高裁で公判が開かれ、被告側証人として四代区住民の女性が証人として出廷しました。主な証言としては、
  • 平成10年に共有地についての問題が起こるまで今回の係争地が共有地であることは知らなかった

  • 今回の係争地で人が木を切っていたかどうかについては、自分は見たことも聞いたことも無い

  • 係争地は急斜面で、木を採る人がいるとは思えない


など、これまでの中電側の主張をなぞるものが多かったものの、
  • 船で田ノ浦から薪を運んだことがあり、波や潮などの条件さえ合えば船のほうが楽に運べる

  • 四代の人は日常的に四代集落から田ノ浦まで行って畑(田)仕事をし、自分は帰りに薪を持って帰っていた

  • (中電が萌芽原因の可能性として指摘した)山火事はあったが、共有地周辺でなく別の場所

など、これまで中電側が主張してきたことと微妙に矛盾する証言などもありました。

 他の証言としては、
  • 昭和45年ごろまで田ノ浦の自分の山で薪を採っていた

  • 山を持っている人間は自分の山で木を切って薪にしていたが、自分の山を持っていなかった人は薪をどうしていたかについては知らない

  • 台風で壊れた四代正八幡宮の神殿を建て直すための神社林を切って建て替え資金にした話については知らない

  • 区の共有地(ジゲ山)は大久保山しか知らないが、切っていい木の種類や大きさ、そもそも木を切っていいかどうかも知らない、「(四代)部落の山だ」ということしか知らない

などがありました。
 次回の公判は7月21日です。
 これで結審となり、年内には判決が出る見通しです。
(祝島漁協ホームページより)

島根原発、これでいいのか!!

・・・1号機もひび割れ。そして2号機新燃料に
回収ウラン使用予定・・・

 昨年、2号機は再循環系配管に2箇所のひび割れが発見されていた。シュラウドに引き続いてのひび割れ発見に2号機の安全性が大きく揺らいでいた。無論、この点検は東電のひび割れ隠し発覚に端を発し、更には、ひび割れの起き難いと言われていたSUS316L材を使用した配管でもひび割れが発見されていたことから、原子力安全・保安院の指示により10年に1回の検査を5年に1回の検査とすることとなり、各電力会社が計画的に点検を行っているものだ。
 そして、今度は1号機で同様に再循環系配管のひびが見つかった。3月5日、B―原子炉再循環ポンプ出口配管溶接継手部1箇所、同12日にはA−原子炉再循環ポンプでもひび割れが45度の角度の中に集中して3箇所見つかった。A系統は316L材で、1996年の検査では異常が見つかっていない。B系統は、1995年の検査で316L材に交換している。中電は配管を取り替える予定だが、ひび割れがおきにくいと言われた316L材は役に立っていない。加工することによって応力は避けられず、また316L材に変わるものもない現在、配管を取り替えても根本的な解決策などないのだ。原発は、今後もひび割れが起きることを避けることができない。
 一方、中国電力は2月28日付で2号機用の新燃料輸送計画を公表している。その計画を見ると、一部回収ウランを含むとしている。中国電力に質すと、資源の有効利用だという。今回輸送される燃料は100体。内70体は14%が回収ウランで、残り30体は37%が回収ウランだ(3.9tu)。
 これまで使用済み核燃料を再処理してきた中国電力は、すでに人形峠に5.3t、東海村に59t、海外に185tの回収ウランを所有している。BWRでは、東電他2社で使用してきた実績があるが、継続して使ってはいない。中国電力は、次回、次々回で使うとし、今後も使いたいと言う。回収ウランは少量ではあるが、プルトニウムなどを含み、燃焼効率は悪くなるばかりか、コストも高くなる。そして、線量率が上昇し、燃料加工時や輸送時にこれまで以上に作業員の被曝する率が高くなるのだ。そんなものをなぜ使うのかと問うと、「国策だから」と言う答えが返ってきた。少量とはいえ、プルトニウムを含む回収ウランの使用は後々MOX燃料の母材ともなり、「関係ない」と中電は言うものの、すでにプルサーマルの予行演習を始めたようなものだ。
 これら、島根原発で起きていることは、地域住民の今日の安全ばかりか未来の安全まで脅かし続けているのだ。
(島根:芦原康江)

ミヒャエル・エンデ、原発、もうひとつの世界
伊達 純

 最近、『ハリー・ポッター』や『指輪物語』などのファンタジー小説が映画化され、人気を博している。児童文学・ファンタジー小説好きの私としては嬉しい限りである(ちなみに私は、『ハリー・ポッター』は読んでいないが、『指輪物語』はニ十数年前、高校生の頃に読んだ。他にも『ナルニア国物語』『ゲド戦記』『プリディン物語』なども読んでいる)。
 『モモ』『はてしない物語』などの著者であるドイツの児童文学・ファンタジー小説作家ミヒャエル・エンデは、現代文明のあり方に対して警鐘を鳴らす人でもあった。その批判は原子力発電に対しても向けられていた。エンデは原発のことをはっきり危険だと言い切っているのである。ただしエンデは、石油がなくなる時代、このまま経済成長を続けるための次のエネルギー、しかもこれまでより危険性が高いかもしれないエネルギーは何かということが本質的な問いではない、人間を加速度的にエネルギー浪費に向かわせる制度、経済成長の強制から、どうやって私たちは抜け出すのか、自由になるのかという問いこそが本質的であるとも言っている(『エンデと語る』 朝日新聞)。
 原発なしでも火力・水力だけで日本国内の電力は足りているという論があった。事実そうなのだろう。そして反原発の論理としては、それなりに有効だったとも思う。しかし一方で、この論理は、経済成長を強制する現在の制度をそのままにして、原発だけを問題とする考え方ではないだろうか。経済成長を強制する現在の世界システム、そして新自由主義的な経済のグローバリゼーションが地球温暖化、環境破壊、資源の枯渇、南北間の貧富の格差、そして対イラク戦争などを引き起こしていることを考える時、エンデの問いは重い。このままでは地球は、生命の棲むことのできる「青き水の惑星」ではなくなってしまうのではないだろうか。
 新自由主義的な経済のグローバリゼーションに立ち向かう運動は、「もうひとつの世界は可能だ!"Another World is Possible!"」を合言葉としている。そして「もうひとつの世界」とは、協同組合、非営利団体(NPO)、フェア・トレード、地域通貨(ローカル・カレンシー)、利子のつかない銀行といった「連帯経済」を基盤としている。これは『エンデの遺言』(NHK出版)でも描かれていることである。このような「連帯経済」は、太陽電池、燃料電池、風力発電、コ・ジェネレーションなどのコミュニティを基盤とした分散型エネルギーシステム、有機農業やリサイクルといった循環型の持続可能な社会システムとともに、「もうひとつの世界」の柱となるものだと思う。
 私たちは、原発に反対するとともに、こういった「もうひとつの世界」を構想することが大切ではないだろうか。ちょうどエンデが「ファンタージェン」を、トールキンが「中つ国」を、ルイスが「ナルニア」を、ル・グウィンが「アースシー」を創造したように。

木原省治のコラム ―巨象にいどむ―

 今すぐ原発の建設や運転を止めさせる手段を考えてみた。夢のような話しだけど、手っ取り早い方法としては、中国電力の株式を50%以上取得して過半数の株式を所有する株主になって、株主総会で「当社は原発の建設や運転をしない」という決議をすれば可能である。
 中国電力の発行済み株式の総数は約3億7千万株だから、1株の値段を2000円として、3億7千万株の過半数は1億8千5百万株だから約3700億円のお金を準備すれば、この事は現実のものとなる。株式会社というのは株主のものだから、過半数の株主(正確には株数)が「原発反対」を決めれば良いことになる。
 今、マスコミを賑わせているライブドアとニッポン放送、フジテレビの争いを見ていると、僕はどうしてもライブドアを応援したくなる。ライブドアの堀江社長の本音というか、彼の本当に目指すものが何であるかについては、まったく分からないけど、テレビなどで知る限り、公開売買されている株式を取得することは自由だし、50%以上の株を取得すれば経営権を握ることも自由というのは当然のことではないか。
 それを「会社を守る」、「ライブドアの若造に放送の世界が分かるか?」そんな声で潰しにかかるという方法というのは許せるのだろうか。
 こんな事を聞いていると、これまでに多くの企業が、社員らには何の相談も無く、合併や倒産、一方的な配置転換をするなどの事をしてきた責任というものはどういうことなのだろうかと、大いに疑問を持つところである。
 今年も中国電力の株主総会が近付いてきた。僕たちが中国電力の株主総会に、株主として「原発を止めること」「会社の利益を、世界の多くの核被害者の救済に当てること」などの株主提案議案を提出するという活動を10年以上が行ってきた。中国電力にとって、僕たちの活動というのは巨象に群がるハエか蚊程度の物に過ぎないのだろうか。しかし、僕はハエや蚊であろうとも、結構気になる存在だと自負している。それとも経営者というのは、見かけによらず相当な小心者たちの集まりなのだろうか。
 というのは、この時期になると中国電力から「今年の株主総会では、どういう議案を準備されているのか」との問い合わせが始まるからである。
 もし、もしも誰か4,000億円くらいの大金を提供してくれたら、僕は中国電力の株式を50%以上取得して、島根原発も上関原発も止めることを株主総会の場で議決する行動を起こすだろうが、巨象は僕たちハエに対してどういう手段に出るだろうか。たぶん、何らかの手段を使って僕たちの行動を無意味なものにすることにするであろう。
 そう考えていると、株式を半分以上取得して原発を止めるという方法は「成金的な手法」と言わざるを得ないであろう。いろいろな人たちが、その場その場で自分の精一杯の方法で原発を止めるために活動する。これしかないという結論に至ってしまう。
 株主総会もその一つの場である。原発が止まるまで、うるさいハエや蚊であり続けながら活動をするしかない。
《文・木原省治》

【編集後記】
 株主総会への議案を今年も提案する。5議案を考え賛同者を集めるために400通の手紙を郵送する忙しい仕事を3月に行い、委任状が返ってきたのを仕分けし、4月末に提出する準備をしている。そこに上関原発の詳細調査強行のニュースだ。怒りのなにものでもない。23年来の反対運動を続けてきた人の顔、顔。その粘り強い信念に中電のやり方を許すことができない。委任状にも強い口調で原発反対を会社に迫っている株主もおられるのである。あきらめさせるのは中電の方だ。(み)


■トップページ

■活動記録

■会報

■木原省治さん関連

■資料

■その他

■リンク集

■更新履歴

■サイトマップ

■連絡先

■第2ホームページ

■メール